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VCF HoloDeckのデプロイ 事前準備編

 

こちらの投稿に引き続きVCFをなんとか自宅で動かせないかとアレコレ考えていたところ、VCFのクローズド環境をデプロイすることができるHoloDeckというツールがありました。

公開ドキュメントによるとHoloDeckのSystem RequirementとしてそれなりのCPU、メモリ、ディスク容量が必要になりますが、今回はとりあえずVCFの基盤をデプロイして色々触ってみるということを目的にしているため、多少リソースが足りなくてもデプロイだけはできるのではないかという目論見で自宅のミニPCにデプロイしてみます。


今回は、HoloDeckをデプロイするにあたり、親ESXiとなる物理的な機器にインストールされたESXiに対する簡単な設定と、HoloDeckを触る際の踏み台となるHoloコンソールのデプロイ、HoloDeckの出入り口となる仮想ルータ(Holo-Router)のデプロイまでを記載します。

以下は公式ドキュメントから引用した画像ですが、オレンジ枠内が対象です。


大まかな流れは以下の通りです。
    1.親ESXiの準備
    2.HoloConsoleの準備とデプロイ
    3.Holo Routerのデプロイ


1.親ESXiの準備

HoloDeckは、仮想マシンとしてのESXiを含めたVCFに必要なコンポーネント一式を親ESXiの中に仮想マシンとしてデプロイするツールです。なので親ESXiに対しての設定はほとんど不要ですが、唯一NW関連で少しだけ設定が必要になります。

今回の検証では親ESXiは、OSインストールだけ行って管理コンソールにアクセスができるだけ、という状態から始めます。
まずはESXiのWeb管理コンソールにログインして、仮想スイッチを作成します。
ネットワーク>仮想スイッチ タブに移動後、「標準仮想スイッチの追加」をクリックします。


以下の通り設定して、「追加」をクリックします。
 -vSwitch名:VLC-A
 -MTU:8000
 -アップリンク:削除


同じことを繰り返して、もう一つ仮想スイッチを作成します。
マルチサイトの検証をしなければ不要ですが、せっかくなので作っておきます。
 -vSwitch名:VLC-A2
 -MTU:8000
 -アップリンク:削除


続いて、それぞれのスイッチにポートグループを作成します。
ポートグループ タブをクリック後、「ポートグループの追加」をクリックします。


以下の通り設定して、「追加」をクリックします。
 -名前:VLC-A-PG
 -VLAN ID:4095
 -仮想スイッチ:VLC-A
 -セキュリティ
  -無差別モード   :承諾
  -MACアドレス変更 :承諾
  -偽装転送     :承諾


これまた、同じことを繰り返して「VLC-A2-PG」という名前のポートグループも作成しておきます。



2.HoloConsoleの準備とデプロイ

HoloDeckでは、環境にアクセスするための踏み台としてHoloConsoleというものを用意して、基本的に操作はHoloConsoleから行います。

HoloConsoleはWindows Server2019ベースで、諸々のツールを準備した状態のカスタムのWindowsインストールISOイメージの作成から始めます。

ISOの作成はどこでやっても構いませんが、作成したISOは最終的にHoloDeckの親となるESXiにアップロードして、そのISOから仮想マシンのOSをインストールすることになります。

ISOには必要なツールをすべて埋め込んだ状態になるので、Windows OSのインストール後はすぐに使える状態になっているというワケです。

まずは、必要になるツールのインストーラをかき集めます。
必要なツールの一覧の詳細は以下ドキュメント参照。

用意してみるとわかりますが、OSイメージやらCloud Builderのイメージファイルも含まれているのでサイズがめちゃくちゃデカくなります。笑
また、途中の処理でパス名が長すぎるというエラーが発生するのを避けるため、配置するパスは極力短くします。
今回の例では「C:\Holo」というフォルダを用意し、そこにすべてのツールをかき集めています。


続いて、HoloDeckツール本体を手に入れるため、以下のページにアクセスします。

必要な情報を入力後、Zipファイルをダウンロードし、ダウンロード後は、「C:\Holo」に解凍しておきます。
さっきの画像の一番上のフォルダは実はHoloDeckツールのZipを解凍したものでした。


解凍したHoloDeckフォルダの中の「createISO.ps1」(カスタムISO作成スクリプト)を編集して必要な情報を埋めます。
デフォルトでは「c:\Users\Administrator\Downloads」フォルダに必要資材一式が配置される前提となっているので、「C:\Holo」に置き換えて、途中のパスやファイル名は実際に自分でかき集めたブツの名前に書き換えます。
ライセンスの箇所は、評価モードでのデプロイが可能なので空白のままでOKです。


セットアップ後の壁紙セットやその他付随ファイルのセットのため、additionalfiles.txtも編集しておきます。


準備が整ったので、Powershellで「createISO.ps1」を実行します。
Windowsのインストールイメージを一度解凍したり、サイズもそこそこデカいのでそれなりに時間が掛かります。「Customwindows~.iso」というファイルが出来上がります。


出来上がったISOファイルをHoloConsole-v5.2.isoとでも変更して、親ESXiのデータストアにアップロードします。


そのISOを基にWindows Server OSをインストールします。
ストレージは150GBぐらいにしておき、接続先のネットワークは「VLC-A-PG」を指定します。


カスタムISOをセットして仮想マシンをパワーオンすると、自動的にインストールが進みます。インストール中、自動的に再起動が走ったり、何がしかの設定が走ったりします。


ADCSのインストールなども走るみたいです。


その他にも色々インストールされます。


最後にスタティックルートや壁紙の設定が走ります。


すべて完了したようです。デスクトップ画像もなんだかいい感じの画像が設定されています。



3.Holo Routerのデプロイ

Holo RouterはHoloDeck環境の出入り口となる仮想ルーターです。
OVAファイルがHoloDeckツールキットのZipファイルに含まれているのでこれを使います。
これをデプロイすることでHoloConsoleにリモートデスクトップ接続できるようになります。

親ESXiの管理コンソールにて「Create / Register VM」をクリックします。


「Deploy a virtual machine from an OVF or OVA file」を選択して「NEXT」をクリックします。


HoloRouterのOVAファイルを選択して、「NEXT」をクリックします。


以下を設定して「NEXT」をクリックします。
 -Network mapping
  -ExternalNet:VM Network
  -Site_1_Net:VLC-A-PG
  -Site_2_Net:VLC-A2-PG


以下を設定して「NEXT」をクリックします。以下以外はデフォルトでOKです。
 -External IP:外部NWからアクセスできるIPアドレス
 -External Subnet:上記のサブネットマスク
 -External Gateway:上記のゲートウェイアドレス


HoloRouterのデプロイが完了すると、こんな感じのコンソール画面が見れます。




親ESXiの外にいるPCから、HoloRouterのEth0のIPアドレスに対してアクセス確認でもしておきます。




これで親ESXiの外のNWからHoloRouter経由でHoloConsoleにリモートデスクトップ出来るようになりましたので、接続してみます。
リモートデスクトップアプリを起動し、「HoloRouterのeth0のIPアドレス」に対して接続します。(HoloConsoleのIPアドレスではないので注意) 


HoloConsoleにリモートデスクトップ接続ができました。


これでHoloDeckをデプロイするための事前準備的な設定や資材配置が完了しました。
次回はHoloDeckのデプロイについて書きたいと思います。






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