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Workspace ONE Tunnel経由でオンプレAD認証

 

前回、WS1 UEM加入時に同時にADドメイン参加も行うという内容をアップしましたが、その際「UEM加入時にドメイン参加も行うことはインターネット経由でできても、初回認証時にはどうしてもオンプレNWに接続する必要がある点は考慮が必要である」と記載しました。

今回は、Tunnel機能を利用して初回認証もインターネット経由で行うことにより行う、ということを実現してみたいと思います。

具体的には、AD認証を行う際に動作するプロセスの通信をTunnel経由とすることで、オンプレNWに接続することなくインターネットからADアカウントでログインする、という内容です。

前提としてWin10でTunnel機能が利用できる状態であることとします。

大まかな流れは以下の通りです。
    1.デバイストラフィック規則設定
    2.VPNプロファイル配信設定
    3.ドメイン参加直後のPCでADアカウントでログイン

1.デバイストラフィック規則設定

以下のプロセスのトラフィックルールを設定します。



UEMの管理コンソールにログインし、グループと設定 > すべての設定 > システム > エンタープライズ統合 > VMware Tunnel に進みます。


「デバイス トラフィック規則」セクションの「編集」をクリックします。


「デフォルト」をクリックします。


「アプリケーションの管理」をクリックします。


[追加]をクリックします。


アプリケーションの追加画面で、前述の3つのプロセスを追加します。
 ・System
 ・lsass.exe
 ・svchost.exe
プラットフォーム:Windows
フレンドリ名:任意の値
アプリタイプ:デスクトップアプリ
アプリ識別子:アプリのフルパス


[ルールを追加する]をクリック後、以下のルールを設定し、[保存して公開]をクリックします。
 -アプリケーション:System、lsass、svchost
 -アクション:TUNNEL
 -ターゲット:*.ad.domain,ad.domain
        ※[ad.domain]の部分は実際のドメインに応じて変更



2.VPNプロファイル配信設定

VPNプロファイルについては「カスタム構成」以外は特別な部分はありません。
Win10用のデバイスプロファイルを作成します。


「全般」は適当に設定し、「VPN」ペイロードをクリック後、「構成」をクリックします。


[接続情報]セクションを以下のように設定して、少し下にスクロールします。
 -接続名:任意
 -接続タイプ:Workspace ONE Tunnel
 -サーバ:Tunnel構成を基に自動入力
 -デバイストラフィック規則:デフォルト – 既定
 -デスクトップクライアント:有効化


[カスタム構成]セクションの[カスタム構成XML]で以下を入力します。
<?xml version='1.0' encoding='utf-16'?>
<CustomConfiguration>
  <StartTunnelPreLogon>true</StartTunnelPreLogon>
</CustomConfiguration>
【補足】
この設定はユーザのログイン前にTunnelサービスを起動するという設定で、この設定があることによってログイン前にTunnel接続が確立され、Tunnel経由でAD認証が可能になります。


[Tunnel Gateway経由でDNS解決]の[ドメイン]には以下を入力し、[保存して公開]をクリックします。
*.ad.domain
ad.domain
※[ad.domain]部分は実際のドメインに変更
【補足】
デバイストラフィック規則の[ターゲット]に指定したものと同じです。



3.ドメイン参加直後のPCでADアカウントでログイン

ドメイン参加は前回記事の通りリモートで実施できたとして、初回ログイン時はどう頑張ってもAD通信出来なければいけないワケですが、TunnelプロファイルのPrelogonオプションを有効化したことでログイン前にPer-App VPNのセッションを張ってくれるので、ADにログインすることが可能になっています。

デバイスの状態は前回記事のUEM加入時のAD参加を行い、初回ログイン前の状態とします。
ログイン画面で、ADユーザとパスワードを入力し、ログインを実行します。
【補足】
オフラインドメイン参加が実行されたため、サインイン先がADドメイン名に変わっています。


ログイン処理が行われますが、バックグラウンドでTunnel接続が確立され、Tunnel経由でADに通信を行っています。


ログイン完了後、Tunnelアプリの状態を見てみるとすでに接続済みの状態となっています。


ログインする際の通信のごく一部ではありますが、lsassというプロセスがTunnelを経由してADと通信をしていることが出力されています。



前回記事と併せて、ドメイン参加⇒ADアカウントでPCにログイン、という一連の処理をTunnel経由でリモートから行うことができました。

一般的にPCのキッティングは上記だけでなく様々なプロセスが必要なので、これだけではゼロタッチデプロイを実現することは不可能ですが、現在手動で行っている設定もUEMの様々な機能を駆使することでIT管理者の手を介さず利用者に直接PCを配送する、ということも実現できるのではないかと思います。


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